2013年10月23日水曜日

最近見た映画


ムード・インディゴを観た。ネタバレありです。

1968年版は渋谷のレイトショーで昔観ていて、「そういう映画」と知らなかったため、かなり置いてかれて、今思い出そうとしてもストーリーのかけらも出てこない。

曲に合わせたカクテルを作るピアノ。肺に睡蓮の咲く病。花で患者を囲んで睡蓮に対立するという不思議な治療法。おしゃれでロマンティックな恋愛ストーリーが繰り広げられると信じきっていたので、ストーリーに全く追いつかず撃沈。フランス人なら分かる言葉遊びなんかも入ってたりするのかな。

ミシェル・ゴンドリー版はというと、気構えがあったからか、語り口がより丁寧だからか、私が年を取った大人になったからか、彼らしい、おもちゃ箱をひっくり返したみたいな懐かしくて楽しい世界にどっぷり浸れた。ルービックキューブをスケジュール帳にしていたり、蛇口からうなぎが出て来たり、花屋の女性の服が選んだ花の色にクルクル変わったり、「夕べ変な夢見たんだけどさ〜」みたいな不思議な映像が大好き。

主人公二人の恋する気持ちもあって、幸せ一色の前半にたいして、クロエの病のせいでぐっとトーンダウンしてくる後半。色使いからしてモノトーン。そして、悲しい結末には自分でもビックリするくらい泣いてしまった。涙腺が緩い方ではあるのだけれど、美しい妻を失う話は良くあるし、けして涙を誘うようなトーンではなく、むしろ、そんなありきたりな展開を自嘲するかのような演出だったので、酷く戸惑った。

言い訳になってしまうけど、悲しかったのはクロエが死んでしまった事よりも、コランがもう調和のとれた夢みたいな世界には2度と戻れないと感じた事。貧困と病に負けて、夢と友人と恋人を失うなんて、まるで現実の世界みたいじゃないかと思う。現実の世界に来るのなら、もっとタフにならなければいけないのに。(それじゃ話が全く変わっちゃうんだけど。)夢は夢のまま、ふんわりと漂っていれば良いのになと、コランのその後に思いを馳せる。

ところで、フランス人女優って好きな人多いのだけど、男優って気になる人がいない。

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