ムード・インディゴを観た。ネタバレありです。
1968年版は渋谷のレイトショーで昔観ていて、「そういう映画」と知らなかったため、かなり置いてかれて、今思い出そうとしてもストーリーのかけらも出てこない。
曲に合わせたカクテルを作るピアノ。肺に睡蓮の咲く病。花で患者を囲んで睡蓮に対立するという不思議な治療法。おしゃれでロマンティックな恋愛ストーリーが繰り広げられると信じきっていたので、ストーリーに全く追いつかず撃沈。フランス人なら分かる言葉遊びなんかも入ってたりするのかな。
ミシェル・ゴンドリー版はというと、気構えがあったからか、語り口がより丁寧だからか、私が
主人公二人の恋する気持ちもあって、幸せ一色の前半にたいして、クロエの病のせいでぐっとトーンダウンしてくる後半。色使いからしてモノトーン。そして、悲しい結末には自分でもビックリするくらい泣いてしまった。涙腺が緩い方ではあるのだけれど、美しい妻を失う話は良くあるし、けして涙を誘うようなトーンではなく、むしろ、そんなありきたりな展開を自嘲するかのような演出だったので、酷く戸惑った。
言い訳になってしまうけど、悲しかったのはクロエが死んでしまった事よりも、コランがもう調和のとれた夢みたいな世界には2度と戻れないと感じた事。貧困と病に負けて、夢と友人と恋人を失うなんて、まるで現実の世界みたいじゃないかと思う。現実の世界に来るのなら、もっとタフにならなければいけないのに。(それじゃ話が全く変わっちゃうんだけど。)夢は夢のまま、ふんわりと漂っていれば良いのになと、コランのその後に思いを馳せる。
ところで、フランス人女優って好きな人多いのだけど、男優って気になる人がいない。